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総研大で科学哲学の学位取得を考えている方へ

以下は大西個人による紹介記事で、大学やコースの公式な見解を表すものではありません。詳細は必ず大学/コースのウェブサイトなどから確認するようにしてください。


(総研大と統合進化科学コースについて)

総研大は、組織的にはひとつの研究科のもと、全国に点在する国立の研究所におかれたコースと、メインキャンパスにある統合進化科学コースからなる博士課程のみの大学院大学です。そのためキャンパスも全国に散在していますが、メインキャンパスは、神奈川県三浦郡葉山町の山の上にあります。統合進化科学コースでは大きく分けて、進化学関連の研究と、科学と社会関連の研究とが行われています。科学と社会分野には、科学哲学の他に、科学史や科学技術社会論の研究をされている先生方がいます(詳しくはコースHPの教員紹介ページをご覧ください)。基本的に博士号取得のためのプログラムですので、とりあえず修士までだけ取得したいという方には向いていません。


(副論文制度について)

本専攻で学ぶ学生さんには、視野を広げるために専門とは異なる分野でも研究を行い、副論文として提出してもらっています。科学と社会分野で博士号の取得を目指す方は、進化学関連の研究室で、全研究エフォートの10%程度をかけて副論文研究に取り組むことになります。研究にあたっては、入門的な授業や専門の教員による指導が受けられますので、生物/進化学関連の研究経験がなくても、あまり心配することはないと思います。


(研究環境について)

国内には科学哲学の研究ができる大学院がいくつかあり(外部のまとめサイト)、大きなところに比べると教員数や学生数、授業数、蔵書数はかなり少ないですが、同じコース内に進化学系の研究室があることから、実際の科学研究との距離が近いことや、また科学史や科学技術社会論といった関連諸分野の教員がいるという点では、科学哲学の研究に適していると思います。その他、学生支援については、コースHPのこちらのページをご覧ください。


(研究テーマについて)

大西自身の専門は科学的実在論論争ですが、関連して、確証理論や科学的表象といった一般科学哲学に属する話題、および認識論も少しかじっています(その他、その時々の関心や必要性に応じて色々かじっています)。学生さんの研究テーマは必ずしもこれらのいずれかである必要はありませんが、あまり離れたテーマは指導できませんし(詳しくは応相談)、関心のあるテーマと近いことをされている先生の研究室が他にあるならば、そこで鍛えてもらうのが一番確実だと思います。ご家庭の事情など、特別な理由がないかぎりは専門性を第一に考え、「家から近い」といった表面的な理由では選ばないほうがよいでしょう。「専門家に批判されずにのびのびやりたい」「どこでもいいから籍だけほしい」といった不純な動機で選ぶのも厳禁です。


(求める学生さん)

英語がきちんと読め、自己顕示欲ではなく好奇心を大切にして、労をいとわず主体的に勉強/研究し、国内外のいろんな研究者と仲良く議論ができる(ようになりたい)人に来てほしいと思います。なかでも英語力(スピードよりも、辞書を引きながらでもいいので、確かな読解力)と主体性、視野の広さは必須の能力だと思います。性格面では、哲学は自説を批判の荒波に浮かべては修繕を繰り返す作業ですので、自説とほどよい距離感を保ちつつ(「さてうまくいくかな」)自説に責任をもって柔軟に対応できる(「じゃあこうしてみよう」)人が向いていると思います。批判されるのが耐えられない人や頑なすぎる人、批判精神が旺盛すぎて建設的な考え方ができない人、あるいは逆に、自説を擁護したり修正して育てていく気概のない人などはあまり向いていないと思います(この辺はバランスの問題)。


さらに話を聞いたりキャンパスの雰囲気をみてみたいという方は、コースHPの教員紹介に掲載されている大西のアドレスまでご連絡ください。各種説明会やオープンキャンパス、入試などの情報については、コースHPの入学案内をご覧ください。